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安土桃山の伝承

京都へいくと、名刹は多く、今も重厚あるいは煌びやかさで魅了してくれる文化財も多い。

煌びやかさを誇る安土桃山時代の豪華絢爛さが、信長・秀吉とともに消えてしまったのが残念だ。

最近の地震や津波や多湿環境で、人も文化財も1000年その証拠を残すのが難しいのも実感する。

信長が当初奨励した南蛮貿易で輸出された文化財を少し調べてみた。

 

安土桃山を代表する、幻の城、安土城。

床から柱まで漆で黒や赤で塗られ、金箔や貝細工を多用したキンピカの華麗な城だ。

 

黒は難しい色だが、漆(うるし)で深遠さを増した黒を漆黒(しっこく)という。

光を吸い込む艶やかな黒色だ。

南欧では漆は取れない。

だから輸出された漆黒茶碗などをジャパンと呼んで好まれ珍重された。

紫外線に弱い漆器が今も丁重に保管され、光沢を今に受け継いだ美箱が修道院で散見される。

技法で言えば、蒔絵と螺鈿(らでん)を用いた安土桃山時代を映す作品だ。

蒔絵とは、漆に金粉を撒いて定着に漆を塗り炭で磨いて紋様を描いた絵。

螺鈿とは、薄く切った貝(夜行貝など)を張り付ける技法だ。

どちらも時間のかかる技術だが、どうやら当時、日本を訪れた宣教師が安土城の中の豪華さを見て職人に製作依頼し持ち帰った箱らしい。

もっとも、時間がかかる技法なので、日本の滞在時間を考えると、平蒔絵(紋様を直に漆器に描き定着前に細かい金粉を撒く技法で時間が1/10で済む)かもしれない。

平蒔絵は秀吉時代に蒔絵の主流になっていた簡略技法だ。

スペインでは23か所(70点以上)で、多湿な日本では既に見つからないこの時代の鮮やかな漆器が見つかっている。

 

しかし、安土城も安土桃山時代の漆器も今に残しているのは、海外という事実。

幻の城、安土城のことさえ、スペイン宣教師フロイスの見聞記録でしか詳細形状を知ることはできない。

上記漆器蒔絵箱は、異国で聖遺物を納める荘厳な箱として大切に残され鮮やかさを伝えることができた。

 

戦後始まったと思っていた日本技術力への高い評価。

既に今から440年前の安土桃山時代から始まっていたのだ。

宣教師たちは日本の高い文化度と戦闘力で占領は難しいと多く自国に報告していた。

 

原発や地震なんかで日本技術の高評価の歴史を終わらせてはいけない。

震災地に豪華蒔絵の合同慰霊碑はどうだろう。

高い遠くを見下ろせる場所にいつまでも440年以上伝承できるように。

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